2013年度 岡山理科大学 教員免許更新講習 in 屋久島

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田代海岸の枕状溶岩を解説する市川

 

7月31日~8月2日の3日間、岡山理大の教員免許更新講習
「屋久島の自然観察実習」 が開催されました。

現在、小中高の学校教員は、10年に1度所定の単位を再取得し、教員免許を更新することが義務付けられています。

岡山理科大が設置するこの屋久島実習は、同大非常勤講師を務めるYNACスタッフを起用したユニークなもので、毎年募集を始めるとあっというまに満員になってしまう人気の講座です。

今年も北は宮城県から南は地元鹿児島県まで、定員いっぱいの20名の先生方が屋久島に集結しました。

7/31(1日目)
10:00 開講式
10:30 講義「屋久島の自然―気象・地質・植生」 (小原)

13:00~17:00 「地形と地質、水質」 市川・小原)

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①田代海岸の付加体と枕状溶岩 素晴らしく晴れた猛烈に暑い海岸で地質巡検。なるほどこれが枕状溶岩かと納得できる素晴らしい路頭です。

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②千尋滝の花崗岩地形 問答無用で花崗岩の存在感が理解できる名瀑千尋滝で、屋久島の成り立ちを解説。

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③湯泊海岸の付加体堆積物 プレートテクトニクスの強大なパワーを実感することができる湯泊海岸の褶曲逆転地層などを観察。ここからはモッチョム岳、破沙岳など海岸からそそり立つ島南部の花崗岩峰を望むこともできます。たまにそよぐ風と木陰のここちよさが印象的。

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湯泊の褶曲した堆積岩
20:00~ 「顕微鏡等の機器使用法」岡理大の山口先生による講義です。皆さん熱心に23時まで自主連をしていたもようです。

8/1 (2日目)

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8:30~終日「照葉樹林と中間温帯針葉樹林」 (松本・小原) 

ヤクスギランド線とヤクスギランドを利用して、高さによる気候の違いと森林の垂直分布の実習です。
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紀元杉

ランド線にそって標高別に植生を見ながら進みます。ヤクスギランドで森の再生の仕組みをじっくり観察した後、紀元杉へ。受講生のみなさんは知的好奇心にあふれて喰い付きが良く、さまざまな話題について質問とデイスカッションで盛り上がるため、楽しく時間が過ぎてゆき、スケジュールは順調に遅れてゆきます(笑)

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「第2紀元命水」で水質検査 この水は、水温15℃で、電気伝導率はじつに19μS/cmという超軟水ぶりでした。

20:00~ 「星座の観察」これも岡理大山口先生の実習。日付が変わるまで満天の星空に熱中していた人たちもいたとか。また最終夜ということで別途大いに盛りあがったとのことです。

8/2(3日目)

8:30~12:30「亜熱帯林と動物」 (市川・小原)

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①大川之滝のホルンフェルス地形 朝から滝の爆風に撃たれて涼みます。花崗岩マグマによって恐ろしいほど堅く焼き締められたホルンフェルスが、水の侵食を受け入れず、頑として壁としてそそり立っている、これまた屋久島の名瀑です。
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②西部照葉樹林 アコウの巨木やサルやシカの観察 直径2mを超えるものすごいアコウの巨木。生態よりもまずその驚くべき巨大さ!いまホットな話題になっているシカの生態と屋久島の植生との関係はどんなものか、多様性とは何か、考えながらの散策。

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③ラムサール条約登録地、永田いなか浜 素晴らしい屋久島ブルーを背景に、屋久島の砂浜とアカウミガメの関係を考えます。・・お弁当を広げるには暑すぎて、ここから宮之浦へ移動。

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13:30~ 修了試験(レポート) 単位取得のための講習ですので、もちろん筆記試験があります。最後に全員でこの講習に関するコメントを語り合って終了となりました。

「自分だけでは見えなかったのに、理解することによってさまざまなものが見えてきたのが感動的だった」

「どうせ受講するなら座学ではなくフィールドワークがいいと思って申し込んだが、本当に面白かった」

「実際に自然を感じることが大切だと改めて考えた」

「太古の森が残っているのではなかった。森が破壊から再生してきたことに感銘」

「教員はまず自分が自然を好きでないと!」

「講師の解説を聞いていて、ああ、こういう風に生徒に話せばいいのだと思った」

「ぜひ生徒たちを連れてきたいです」

「他県の多様な先生方と交流でき、さまざまなことを話し合えたのが収穫だった」

「屋久島は一つの地域の中でじつに多様なものを学べるところだ」

受講生のみなさんにはかなり満足していただけたようで、講師陣としては嬉しいかぎりです。ホッとしています。2泊3日の中に屋久島の自然を概観できる内容を盛り込んだ、充実した講習だったと思います。

来年更新を迎える先生方、ぜひ来年の岡山理科大のサイトをチェックしてみてください!
(小原)

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YNACの教育関係ページはこちらです。(少々更新が遅れております。すみません!)

 

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