2020年3月14日
来年度、屋久島で開催される全国高校生自然環境サミットで、屋久島高校がホスト校となり、全国の高校生を案内するにあたって、ガイドの基本的なあり方について、YNACの小原が講師となりフィールド実習を行いました。
西部地域をフィールドとして、まずは目に入る植物たちをチェックしました。

グループごとに樹木を採集し、全体で見比べて同じものをまとめていき、合計42種の樹木を見つけられました。
樹種の同定は、標本にしてからの課題になりました。
ガイドとして案内するにあたって大事なことを伝え、このフィールドでキーワードとなるポイントをあげていきました。

今回、色々なキーワードが出てきましたが、また生徒さんたち自身で調べて、彼らの言葉でゲストさんに案内できるといいですね。
(ちほ)
2020年3月5日
リピーターさんが「森の保健室」ツアーを申し込んでくださいました。
バードウォッチングを含めて、ということで、鳥の様子を見ながら、森を歩くツアーです♫
森に行く前ですが、心理テストと打ち合わせのすぐ後で、畑に沢山の小鳥の群れに遭遇しました!

双眼鏡をお渡しし確認すると、カワラヒワが沢山!
パッとこずえを飛び立っては畑に降りて何かをついばんでるようです。

冬にやって来る鳥ですが、こんなに沢山の群れでいるのは初めて見ました。
今日は西部の森に行く予定でしたが、北西の風が強い予報でしたので場所を変更して、コケの美しい森へ。
コケの中に可憐に咲くオオゴカヨウオウレンは、やっぱり出会えると嬉しいものです。


コケの沢からは、ミソサザイのさえずりか聞こえてきました。声の主を探して、じっと待っていると、2羽、競い合うように鳴いていました。
春ですねぇ。

屋久杉の巨木に触れたり、コケの沢でひと休みしてほっこりしたり、のんびり森を歩くのは、やっぱり元気になれますね。
「森の保健室」ツアーでは、ご自身の健康度を知る心理テストを実施していますが、自分の「ストレス度」「生きがい度」を客観的に知ることができるのも興味深いところです。(ちほ)
2020年3月4日
昨日から2日間、コケ観察ツアーを行いました。

1日目の昨日は、標高1000mから上の森へ。
意外にも林道沿いにはおもしろいものが多く、なかなか動けません。
また、ちょっと森に入ると、美しいコケの世界。

よく見ると、繊細なつくり。

2日目の今日は、低い標高の沢沿いへ。

岩や木に付いている小さいコケもよく見ると、似ていて違うものだったり。ルーペでじっくり見ながら、コケの特徴を教えてもらい、初めて見るコケにたくさん出会えました!

コケの風景はリラックスできる癒しの空間ですが、じっくり見ていくと、なかなか奥が深い世界です。
(ちほ)
2020年2月27日
遠く本富岳の山頂を望む、千尋滝駐車場裏の暖流桜が満開を迎えています。
屋久島は冬が暖かすぎて、ソメイヨシノはすっきりと目が覚めずに、ぱっとしないことが多いのですが、この桜は、屋久島でも特に暖かな原地区でも美しく咲き誇ります。この辺りではもう、アオモジの花も咲いています。
早咲きの桜としてはもう一つ寒緋桜もきれいなのですが、そちらはピンクが濃くてソメイヨシノのような柔らかさがありません。そういう意味では、この種子島産の暖流桜は、日本人の心に響く美しさがあります。晴天に恵まれた本日は、次々と地元の方々が花見にやってきていました。
花には、メジロたちがやってきます。満開の花に顔をつっこみ、次々と蜜をなめていました。
いよいよ春本番です!
2020年2月25日

数日前の寒波で、安房川—荒川分水嶺の広場では、まだ雪が残っていました。

そんな中でも、この季節は屋久島固有のオオゴカヨウオウレンが可愛い花をつけて迎えてくれます。コショウノキも品の良い香りを漂わせています。

快晴に恵まれ、朝日に輝く屋久杉の森がとても美しい登山です。
鳥たちも恋の歌を歌い始めました。
ウグイスの初鳴きが聞かれ、ミソサザイは苔の住まいを作っています。
山頂では、180度以上海が広がり、遠く大隅半島、開聞岳も見ることができました。終日快晴という素晴らしい1日でした。
そんな中で悲しい出来事もありました。久しぶりに訪れた天文の森の核心部に、なんとカウンターが建てられていました。白谷雲水峡でいえば、苔むす森の真ん中に建てたようなものです。
小花山の森の下にあったものを移動させたのは、天文の森コースができて、太忠岳の登山者と天文の森コースの散策者を分けるためと推測されましたが、天文の森のど真ん中に建てては、その意味すらありません。もう少し行くと、かつてハリギリが倒れてできた空き地があります。そこなら日当たりもよく、ソーラーが使え、登山者だけを抽出することができるので、そちらに移動することを強く求めます。
2020年2月16日

2020年2月17日(月)13:30
環境省屋久島世界遺産センター レクチャールーム
NHK BSプレミアムで放送された『世界遺産屋久島 伝説の巨大杉を探せ!』の仲間うち鑑賞会を行います。
(ご連絡いただければどなたでも)
2016年暮れからNHKスタッフとともにYNAC小原が足掛4年にわたって取り組んだ、屋久島の原生林探査の番組です。BSプレミアムのみの放映だったため見ることができなかった友人からの要望が多く、今回鑑賞会を行うことになりました。
この番組の価値は、屋久島に残された森らしい森を、最先端のリモートセンシングと実地の調査を組み合わせ、丁寧にその全貌を明らかにしてきたところです。そのなかには縄文杉クラスの木の存在や、それらに迫る巨木群も含まれ、島内のヤクスギ巨木ランキングを大きく書き換えることにもなりました。
当日は実際に調査隊メンバーの神崎眞喜雄氏、飛高章仁氏、そして小原のトークを交え、屋久島の森の姿や明らかになってきた巨木の生きざま、さらには放送の裏話などを紹介してゆく予定です。(小原)
2020年2月11日

屋久島南東部、高平から尾之間までの間は、冬の北西の季節風が当たらない温暖な地域です。寒波が襲来しても、この辺りは花盛り。スタートしてすぐにきれいな花に出会いました。
この花は、春牧区が作成した里の花ハンドブックにもでていない、初めての出会いでしたので、名前を調べてみたら熱帯アメリカ原産でノウゼンカズラ科のピンクテゴマ(別名キダチベニノウゼン)という花でした。次の里の花ハンドブックの改訂の際には、ぜひ入れたいと思います。
もうしばらく行くと道端に早くもタラの芽を見つけました。この辺りは屋久島でも最も早く春が訪れます。
唐通辞之滝(別名竜神之滝)には、虹がかかっていました。
尾之間灯台の下、谷崎鼻に出ると、無数のヒヨドリの群れが南を目指して飛び立ちます。地のヒヨドリに追われ縄張りを持てないヒヨドリたちが、南の楽園を求めて飛び立つのでしょうか?
一斉に飛び立った群れが急降下して海面すれすれに移動します。
すると上空からは、ハヤブサの急襲です。
海に飛び立つヒヨドリの群れを待って、三羽のハヤブサがかわるがわる攻撃を仕掛けます。
たまらずヒヨドリの群れは、海岸林に逃げ込みます。
1羽のヒヨドリが群れからはぐれ、標的とされました。次々と襲いかかるハヤブサを間一髪のところでかわし、海岸の岩礁にたどり着き、なんとか難を逃れました。
エキサイティングなドラマを堪能して自転車に戻ろうとしたところ、森の旅人のなおちゃんがやってきました。
「今、クジラが来てますよ。あと10分くらいで顔を出すよ」と教えてくれたました。

しばらくすると、彼女が言ったとおり、はるか沖合にスプラッシュがあがりました。大きなしぶきと小さなしぶきがあったので、親子かもしれません。
波間からゆったりと背中が見えました。ザトウクジラだそうです。
この時期はもう沖縄・奄美方面に行ってしまっているのかと思っていましたが、彼女によると毎日見ているそうです。真っ黒に日焼けしているのは、おそらくクジラ焼けでしょう。
尾びれを高く上げて、再び海に潜っていきました。
今日は、春を見つけて、エキサイティングなドラマを目の当たりにし、クジラまで出会うことができ、盛りだくさんのポタリングツアーとなりました。
自転車目線で里をめぐるのも、なかな楽しいものですよ!
2020年2月8日

松峰大橋が見える安房川右岸の台地に安房城跡と呼ばれる遺跡があります。
安房川と滝之川に囲まれ、山手には堀や土塁が設けられており、守りの固そうな山城の様子です。

今回は、その一角の発掘調査が、屋久島町により実施されています。
四角く囲った範囲を掘り進めていくと、
たくさんの磁器や須恵器が出てきます。
最も多いのが中国の白磁で、専門家による鑑定の結果から、12-13世紀の宋の時代のものだそうです。青磁もでます。
鹿児島県内で、この時代の磁器がたくさん出てくることは普通ではないそうです。
カムィ焼(写真上)は、この時代に徳之島で焼かれた須恵器様の陶器です。
また今回の調査では長崎県の滑石でできた石鍋(写真上)も出土しました。
中国産磁器とカムィ焼、そして石鍋がセットで出土するのが、この時期の南島の遺跡の特徴で、カムィ焼が容器、石鍋が調理具、磁器が食器と考えられているようです。
石鍋は、ヤコウ貝と交換されたともいわれ、これで螺鈿細工の原料を買っていたという話もあります。これで朝鮮半島から伝わった石焼ビビンバを食べていたのでしょうか?
これらの遺物からすると、ひょっとするとこの安房城跡が、この時代の宋、琉球と九州本土とを結ぶ交易の中継拠点であったという可能性が考えられます。
一方では、倭寇(海賊)のアジトだった可能性も考えられます。
発掘調査をしていると、掘り返した土の中から出てくる虫を狙ってメジロやシロハラがやってきます。このメジロはすっかり馴染みとなって、手の届きそうなところまで平気で寄ってきます。
発掘調査は、なかなかの肉体労働で、たいへんなのですが、このメジロ君が癒してくれます。