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 屋久島は高い山を持つために,宮之浦岳(1936m)あたりまでいくと、年間の平均気温は北海道の札幌と変わらないと言われています。つまり屋久島の山を登ることで、日本列島を縦断するような温度変化を味わうことができます。このため西日本と北日本の森林が変わるように、屋久島の中でも里山と奥山では森の様子が変わります。そこで屋久島の自然は日本列島の縮図といった誤解が生まれます。
 屋久島の山岳部では、東北地方の気候に似通った標高がありますが、ブナ林ような落葉広葉樹の森はありません。そのかわり屋久杉を中心とした常緑針葉樹林が広がっています。つまり里の照葉樹林(常緑広葉樹林)と山のヤクスギ林(常緑針葉樹林)というように、上から下まで常緑樹に覆われているということが、屋久島の垂直分布の特徴ということになり、日本列島の植生の縮図ではない独自の森林生態系を有していると言えます。

 平均気温が札幌と同じと言ってもその内実はだいぶ違っています。屋久島の平地の気温は、夏の最高気温が32度前後、冬の最低気温は10度前後です。山頂部は単純計算すると20度〜-2度程度ということになります。最近は札幌でも夏は30度を超える日が多く、冬は-10度を下回る寒さになります。そうすると屋久島の山頂部付近は、札幌に比べて圧倒的に年較差が少ないことなります。山頂部は、風当たりなど環境が過酷なために、森林限界となっていますが、平均気温で東北のようなエリアでも、年較差が少ないため、冬に休眠してしまう落葉樹でなくても冬を過ごすことができ、上から下まで常緑樹の森に覆われていると考えられます。
 
 こうした常緑広葉樹林の上に常緑針葉樹林がはえるのは、熱帯の高山地域の垂直分布では典型的であり、屋久島の垂直分布は日本列島の縮図ではなくて、熱帯高地型と言われています。


投石平
頂上植生
 標高1700mを超えると、屋久杉の樹高も低くなり、森林限界となる。ここがまるで亜寒帯のツンドラのようだということで、屋久島は亜熱帯から亜寒帯までの自然を持つと言われることがあります。
 このあたりには非常に矮小化した草花が多く、多くは屋久島の名前がついています。南限の植物が多いのも屋久島の山頂部の特徴です。
 6月上旬には、ヤクザサの原っぱに点在するヤクシマシャクナゲのお花畑が美しい。



荒川原生林
ヤクスギ林

 標高600mを超えるとぼちぼちヤクスギが目に付くようになってくる。
 しばらくは、照葉樹林の中に、ぽつぽつとヤクスギが目に付く程度だが、標高900mあたりまで来ると、この立場が逆転し、ヤクスギの森の中にぽつぽつと照葉樹林が混ざっているような状態となる。ここから標高1600m付近までが、いわゆるヤクスギの森となる。
 ヤクスギの森といっても、スギばかりが生えているわけではなく、モミ、ツガを交えた針葉樹が高く樹冠に聳え、下層にはハイノキやツバキなどの常緑の広葉樹が繁茂する。




西部林道の照葉樹林
照葉樹林

 海岸線から標高600mまでは、シイ、カシ、イスなどの照葉樹の森となる。
 本来は日本の西南部を覆うべきこの森も、長い開発の標的となり、今では屋久島の西部林道周辺に残された照葉樹林が日本で最大規模のものといわれている。
 4,5月の新緑が輝くほど美しい。



トローキ滝上
海岸林

 風あたりが強く、潮水が飛んでくる海岸近くでは、大きな木は育つことができず、そうした過酷な環境に耐えることができる頑丈な葉を持つ植物が、背の低い森を作っています。
 




栗生川のメヒルギ
亜熱帯植物
 海岸近くには照葉樹林に亜熱帯植物も混ざってくる。これがやや沖縄との中間的な景観を作っている。
 ガジュマル、アコウといった熱帯系のイチジクの巨木が天を覆い、栗生川の河口にはメヒルギのマングローブが残されている。