
| 数年前まで屋久島を回る周回道路の延長は約105qといわれていた。なんでもまっすぐにしてしまう、このところのすさまじいばかりの道路工事を見ていると、今、何キロあるのかはよく分からない。いずれにしても、島の中では、車ですっとばせば二時間で元の場所に戻ってしまう。どんなに急いだところで、お釈迦様の掌の上の孫悟空のようなものである。 この掌から抜け出すためには、大海原へと漕ぎ出さなければならない。屋久島の海岸線は凹凸が少なく静かな内湾がほとんどない。一漕ぎ港を出れば完全な外洋となる。東へ行けばロサンゼルス、西へ行けば上海、南へ行けばイリアンジャヤだ。そこにシーカヤックのロマンがある。 ロマンはさておき、遊ぶのはやはり変化に富んだ沿岸部がおもしろい。今回は屋久島西南部、湯泊港から西の海岸を紹介する。 この沿岸部は、熊毛層群と呼ばれる堆積岩が、複雑に褶曲し、ズタズタに破壊された複雑な地形を示し、屋久島誕生時のダイナミックな地質変動の一端をかいま見させてくれる。特に大小の離れ瀬が多く、瀬と瀬の間を思い思いにすり抜けていく楽しみがある。また水の透明度も高く、グラスボート気分で水中の魚やサンゴを眺めることもできる。 見所は二賀野の浦の四連洞窟。また帰りには湯泊の温泉で潮を流すのがたまらない。 北〜北東の風の時が島陰となるが、南からうねりが来ているときは、あまり瀬には近付けない。 |
| @湯泊港 港の最奥にスロープがあり、ここからエントリー、エキジットを行う。ただし大潮の干潮時は、スロープの末端より水位が下がることがありため、多少乗り降りしづらいこともある。大きな港で、堤防も高いが、東風が強いときには、港の奥までもろに風が吹き込み、風波がたつこともある。店や電話は、県道まであがらなければない。 Aオーセンセト 港を出るとすぐに沖のオーセとの間の水路を抜ける。このあたり堤防から撒餌をするせいか魚影が濃い。しかしあまり堤防近くを漕ぐと、上から石を投げられるかも知れないから、あまり堤防には近付かない方がいい。 Bイワンマエ 海岸に岩屋(洞窟)がある。中は不明。 Cクスクノハナ 奥の深い割れ目状の洞窟がある。狭いがカヌーで中に入れことができる。中では波音が大音となりこだまし、奥まで入る気にはならない。 D水路 離れ瀬の内側が水路のようになっていて、比較的波が静かになっている。 Eゴメイシノセト 不思議なことに堆積岩の割れ目に花崗岩がすっぽりとはさまっていることからこの名が付いた。波の静かな細長い水路で、最奥部で上陸可能。
F堆積岩の盛り上り この部分だけ部分的に堆積岩が押し上げられたのか、地層が目茶苦茶に破壊され、瓦礫の山のようになっている。 Gニガナダケ 高さ52mある大きな離れ瀬。陸側は細い水路となっており、通行可能。但し最狭部のワタゼンクチは浅くて、干潮時には通れないこともある。 H二賀野の浦 小さな入江の奥は、屋久島では珍しい玉砂利の浜となっており上陸可能。流木も多く、ここで焚き火をして昼食をとる。但しあまりいい焚き付けがないので、薪が湿っていると苦労する。入り江の奥に向かって右側には、きれいなサンゴが見られ、スノーケリングも楽しめる。またイソモノも豊富で、ビールのつまみとなる。 I旭の岩屋 二賀野の浦の西側には、四つの洞窟(岩屋)が並んでいる。昼食の後、一休みしたら洞窟探検にでかけよう。潮が満ちてくると足元が濡れる覚悟が必要だ。 第一の洞窟の手前には、岩の割れ目から小便小僧の小便のように水が吹き出している。そして洞窟の真前には高さ二m程の盛り上がった岩があるのだが、これが面白いことに岩の頂上から水がこんこんと湧きでている。鉄分が多いためかオレンジ色をした藻類のようなものが流れに沿って付着している。温泉でないのが残念だが、沸かして入れば身体によさそうな気がする。 第二の洞窟は、中にはいると天井部に穴があり、そこから水が滝のように落ちてきている。穴の上にはガジュマルが涼しげに枝を広げているのが見える。 第三の洞窟は、地面にコウモリの糞が落ちており、コウモリの休み場として利用されているようだ。 J湯泊温泉 シーカヤックの後はやはり温泉に入って潮を流したいものだ。湯泊港から海岸を四〇〇mくらいいったところに海の見える露天風呂がある。地元の湯泊集落が管理する温泉なので、地元の方が入っていたら断ってから入れさせてもらおう。桶や石鹸は持参しなければ置いていない。 《コースタイム》 ゆっくり漕いで片道2時間程度。場合によっては中間港へエスケープも可能。 |